DfAM(Design for AdditiveManufacturing)について

3Dプリンター
2020年10月27日


はじめに

 昨今、3Dプリント部品の設計プロセス全体を最適化するための適切な設計方法を選択するにはどうすればよいか、積層造形の設計について多くの議論と研究が行われています。
 3Dプリントはオブジェクトをレイヤーごとに構築し、複雑な内部構造を造形できることが知られています。この工法のメリットを引き出すために、DfAM(Design for Additive Manufacturingの略、通称ディーファム)として知られている積層造形の設計の概念が生まれました。
 専用のソフトウェアにより、ジェネレーティブデザイン、トポロジー最適化、格子構造の作成など、いくつかの手法は既に設計の現場で使用されています。

 

DfAMの基本

 従来の製造技術に最適化された設計は、積層造形にも最適とは限らず、むしろ多くの場合は3Dプリント製造のメリットを妨げることになります。そこで、3Dプリント製造を行う場合には積層造形に最適化された設計を行う必要があります。


 たとえば、金属を3DプリントするためのSLM方式(選択的レーザー溶融法)では、水平面に対して45度未満の表面を造形するときにサポート構造が必要です。そうしないと、下向きの表面品質が非常に悪くなる可能性があります。サポート構造は、造形後に除去する必要があることを考えると、プリントと除去に費用がかかります。最善のアプローチは、最小限のサポート構造を持つ設計をすることです。生成される構造に、含まれるサポートの数を最小限に抑えることは、DfAMの基本的かつ最も重要なステップです。

 

 AMの知識をできるだけ早い段階で初期設計プロセスに取り入れることがハードウェアを最大限に活用するための鍵となりますが、残念ながら現在は多くの場合、人々は3Dプリントを検討するときに、射出成形や機械加工などの従来の技術で製造するのとまったく同じ部品を製造するのにどちらの工法の費用効果が高いかどうかを考えます。

 

 このアプローチが付加価値をもたらす可能性がある状況は確かにありますが、設計者とエンジニアは、最初から3Dプリントを念頭に置いて製品を開発することで、3Dプリントが提供する利点を最大限に活用できるようになります。

 

複雑構造

 従来の製造プロセスでは、容易に加工を行うには設計者とエンジニアによる最適化が不可欠です。ハードアングルや円形の穴のように、設計の段階で製造が容易な形状に最適化を行っています。

 3Dプリントでは有機的な形状や複雑な内部形状を簡単に作成できます。ほとんどの場合、3Dプリントでより複雑な形状を作成するのにそれほど費用はかかりません。一方、射出成形や機械加工で同じ構造を製作しようとすると不可能かまたは多くの費用がかかることがよくあります。

 

米国陸軍航空ミサイル研究開発エンジニアリングセンター(AMRDEC)のブラケットも、トポロジの最適化によって生成され、元のパーツよりも大幅に剛性が高くなっています。

 出典:https://3dprinting.com/tips-tricks/designing-for-additive-manufacturing-dfam/

 

 3Dプリントにより、設計者は、従来の製造では一般に製造が困難な、自然界に見られる有機システムに基づいてソリューションをモデル化できるようになりました。多くのFDMプリントに見られる三角形やハニカムの充填パターンでさえ、植物細胞構造に見られるため、生体模倣といっても過言ではありません。エアバスは骨をモデルにした3Dプリントパーティションを作成しました。

出典:https://3dprinting.com/tips-tricks/designing-for-additive-manufacturing-dfam/

 

部品の統合

 アセンブリ内の部品の数を減らすことには、複数の利点があります。

複雑さが軽減されると、部品がさまざまな製造技術を使用して複数の企業によって製造されている場合、生産がスピードアップし、コストが削減されます。統合されたアセンブリは、継ぎ目が少なく耐久性も向上します。また、部品のインターフェースが少ないため、振動が少なく、漏れの経路が少なくなります。また、通常、すべてをまとめるためにナットやボルトなどの留め具を使用する必要がないため、統合に伴う軽量化もあります。

 

 3Dプリントを使用すると、部品の統合により、アセンブリを数百の部品からほんの数個に減らすことができます。

Relativity Space社はロケットエンジンアセンブリを通常60,000個の部品が必要なところ、わずか730個に統合しました。

出典:https://www.relativityspace.com/terran

 

 またGE社はCatalyst Advanced Turbopropエンジンの部品を852個の部品からわずか12個に削減しました。DfAMは、パーツの設計の最初から適用する場合に最も効率的ですが、既存のパーツに適用することで得られるメリットはまだあります。

 

軽量化

設計の自由と部品の統合の結果として、製造業者は、部品の重量を減らすことが可能になります。DfAMソフトウェアの進歩により部品の強度や構造的完全性を損なうことなく、可能な限り軽量の恩恵を受けることができます。

 

 格子のような部分的に中空の内部形状を統合するか、複数の部品を1つに統合するか、まったく新しい構造を作成するかどうかにかかわらず、より軽量な部品を製造できることは重要です。たとえば、車両や航空機では、軽量化により燃料効率が向上します。材料の重量を減らすことは、材料費の削減にもつながり、よりコストに優しい生産につながります。

 

  ArcimotoとXponentialWorksは、ParaMattersのCogniCADソフトウェアのジェネレーティブデザイン機能を使用して、リアスイングアーム、ナックル、アッパーコントロールアーム、ブレーキペダルの4つの主要コンポーネントの再設計に取り組みました。すべての場合において、大幅な軽量化が達成されました。

 

-リヤスイングアームはオリジナルパーツに比べ34%軽量化

-ナックルは元の部品と比較して36%の軽量化が見られました

-上部コントロールアームは、元の部品と比較して52%の軽量化が見られました

-ブレーキペダルは元の部品と比較して49%の軽量化を見ました

出典:https://www.arcimoto.com/

 

今日のDfAM

 最近ではCADソフトウェア以外にもDfAMに特化したソフトウェアが登場していますし、これらのソフトウェアを用いた設計を支援するサービスやAMのエキスパート達も増えてきています。

 DfAMを活かした革新的な設計や、従来のプロセスで製造されていた部品をリエンジニアリングする成功事例などは増加し、将来的には、DfAMソフトウェアと積層造形がより広く採用されるようになるでしょう。