鉄鋼用語集(1)熱処理一般1

規格・用語
用語 意味 英語表記(参考)
熱処理 所要の性質を付与する目的で行う過熱と冷却のいろいろな組合せ heat treatment
光輝熱処理 保護雰囲気中などで熱処理をすることによって、表面の高温酸化及び脱炭を防止し、表面光輝状態を保持する熱処理。

光輝焼なまし(bright annealing)

光輝焼ならし(bright normalizing)

光輝焼入れ(bright hardening)

光輝焼戻し(bright tempering)

などがある。

bright heat treatment
雰囲気熱処理 炉内の雰囲気ガスを目的によってそれぞれ調節して行う熱処理。

雰囲気ガスには酸化性、還元性、不活性、浸炭性、窒化性などの種類がある。

controlled atmosphere heat treatment
真空熱処理 真空中で加熱して行う熱処理の総称。

真空焼なまし(vacuum annealing)

真空焼入れ(vacuum hardening)

真空焼戻し(vacuum tempering)

などがある。

vacuum heat treatment
イオン衝撃熱処理 減圧雰囲気中で陰極とした処理物と陽極との間に起こるグロー放電を利用した表面処理。 ion bombardment heat treatment, plasma heat treatment
電解熱処理 電解液または塩浴中で陰極とした処理物と陽極との間で通電し、処理物を加熱後冷却する熱処理。 electrolytic heat treatment
塩浴熱処理 塩浴中で行う熱処理。 salt bath heat treatment
拡散浸透処理 表面に他の金属元素又は非金属元素を拡散浸透させる熱処理の総称。拡散被覆処理又はセメンテーション(cementation)ともいう。

アルミナイジング(aluminizing)

ガルバナイジング(galvanizing)

サルファライジング(sulphurizing)

クロマイジング(chromizing)

シリコナイジング(siliconizing)

シェラダイジング(sherardizing)

などがある。

diffusion coating
加工熱処理 塑性加工と熱処理とを有機的に組み合わせることによって、鋼の機械的性質などを向上させる操作。

準安定オーステナイトの温度範囲で塑性加工した後、マルテンサイト変態を行わせるオースフォームなどがその代表的なものである。また、高炭素冷間圧延鋼帯の場合などのように、比較的狭い硬さ範囲を適合させるため、焼なまし後、冷間圧延を行うか、冷間圧延後、特別な条件で焼きなましを行うか、または両者を組み合わせて中間硬質のものを得る方法もある。

thermo-mechanical treatment
制御圧延 熱間圧延法の一種で、鋼片の加熱温度、圧延温度及び圧化量を適正に制御することによって、鋼の結晶組織を微細化し、機械的性質を改善する圧延。

制御圧延のうち、

(1)主として、Mn-Si系高張力鋼を対象に低温のオーステナイト域で圧延を終了するものを古典的制御圧延

(2)未再結晶域で圧延の大部分を行うものを含む制御圧延を熱加工圧延

と呼ぶことがある。

controlled rolling
加速冷却 主として、厚板圧延工程において行われる制御冷却で、制御圧延に引き続き変態温度域を空冷よりも速い冷却速度で冷却することによって、鋼の結晶組織を調整し、機械的性質を改善する冷却法。ただし、加速冷却設備を用いて圧延ライン上で単に急冷し、焼入処理を行う冷却法は、加速冷却に含まない。 accelerated cooling
熱加工制御 制御圧延を基本に、その後空冷または強制的な制御冷却を行う製造法の総称。

熱加工圧延及び加速冷却がこれに含まれる。ただし、古典的制御圧延だけの場合は含まない。TMCPと呼ぶことがある。

thermo-mechanical control process
安定化熱処理 組織を安定化し、又は経年変化を防ぐために行う熱処理。

チタン又はニオブを含むオーステナイト系ステンレス鋼では、850~900℃の温度範囲に適当な時間、加熱して、チタン又はニオブの炭化物を析出させ、安定な組織にする熱処理。これによって、粒界腐食は起こりにくくなる。

stabilizing treatment
均熱処理 主として、材料の内外の温度差が少なくなるようにする目的で、適当な時間、一定の温度に保持すること。 soaking
オーステナイト化 鉄鋼を変態温度域以上の温度に加熱して、オーステナイト組織にする操作。

完全オーステナイト化(complete austenitizing)ともいう。

変態温度域内の温度に加熱して、部分的にオーステナイトにする場合は部分オーステナイト化(partial austenitizing)という。

austenitizing
硬化 時効、加熱・冷却の処理などで硬さを増す処理。

時効硬化、析出硬化、焼入硬化、肌焼硬化などの種類がある。

hardening
シーズニング、枯らし(からし) 鋳物の鋳造内部応力を除去するため、長年月放置する操作。

最近では、一般に応力除去焼なましが行われる。

seasoning
拡散 物質を構成している原子が熱エネルギーによって移動する現象。

拡散変態、析出、回復、再結晶、浸炭などはいずれも原子の拡散によって進行する。

diffusion
過熱 材料の諸性質が損傷されるほどの高温度まで、加熱されること。

後の熱処理や機械加工又は加工と熱処理との組み合わせの作業で、はじめに持っていた諸性質を回復できない場合には、その過熱をバーニング(burning)という。

overheating
再結晶 冷間加工などで塑性ひずみを受けた結晶が加熱されるとき、内部応力が減少する過程に続いて、ひずみが残っている元の結晶粒から内部ひずみのない新しい結晶の核が発生し、その数を増すとともに、各々の核はしだいに成長して、元の結晶粒と置き換わっていく現象。

再結晶を起こす温度を再結晶温度という。この温度は、金属及び合金の純度又は組成、結晶内の塑性ひずみの程度、加熱の時間などによって著しい影響をうける。

recrystallization
結晶粒粗大化 多結晶材を高温に加熱することによって、結晶粒が大きくなる現象。 coarsening
脱炭 鉄鋼を炭素と反応する雰囲気中で加熱するとき、表面から炭素が失われる現象。

脱炭している層を脱炭層といい、その深さを表示する用語には全脱炭層深さ、フェライト脱炭層深さ、特定残炭率脱炭層深さ、実用脱炭深さなどがある。

decarburization
白点 鋼材の表面に現れる白色の光沢をもったはん点。

以前には低合金鋼の大型鍛鋼品などにしばしば認められた。

熱間加工後の冷却過程で生じる変態応力、水素の析出に伴う内部応力などで誘発される内部き裂と考えられる。

flake, white spot
水素脆化 鋼中に吸収された水素によって鋼材に生じる延性又はじん性が低下する現象。

この現象は、酸洗、電気めっきなどの場合に生じることが多い。

また、引張応力が存在すると割れに至ることが多い。

hydrogen embrittlement
赤熱脆化 熱間加工の温度範囲で鋼がもろくなる性質 red shortness
青熱脆性 200~300℃付近で鋼の引張強さや硬さが常温の場合より増加し、伸び、絞りが減少して、脆くなる性質。

青熱脆性と呼ばれるのは、この温度範囲で、青い酸化被膜が表面に形成されるためである。

blue shortness
低温脆性 室温付近又はそれ以下の低温で、鉄鋼の衝撃値が急激に低下して、もろくなる性質。 cold shortness
α脆化 α相の析出分離によっておこる脆化現象。

α相とはクロムを20%以上含む高クロム鋼、高クロムニッケル鋼などに現れる金属間化合物。

α embrittlement
経年変形 室温で長い年月の間に材料の寸法・形状が変化すること secular distortion

※双葉電子工業株式会社 プレート総合カタログ 設備用規格編 レッドブック<設備編>から抜粋

鉄鋼用語集(1)熱処理一般2 へ続く