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【研磨】バレル研磨とは

工作物を磨く研磨方式にもさまざまありますが、大量の加工品を磨くのに適している「バレル研磨」があります。

 

バレル研磨の詳細はどのような物なのか。そしてどのような種類があるのかを紹介します。

バレル研磨とは

バレル研磨は工作物の研磨方法の一種で、主に大量に研磨を行う場合に用いられます。

 

バレル槽と呼ばれる容器に、『工作物』、メディアと呼ばれる『研磨石』・研磨を補助する潤滑液の役割を持つ『コンパウンド』、『水』を所定の割合で投入します。

その後容器を回転させたり振動を与えることにより、投入されているメディアと工作物が擦れ合い、この摩擦により工作物を研磨する方式となります。

 

主にバリ取り、平滑化、スチール取り、R付けなどの目的で、自動車業界や電子機器業界などさまざまな場所で用いられています。

バレル研磨に用いられる物

バレル研磨では以下のようなものが用いられます

 

  • コンパウンド
    コンパウンドは、家庭用洗剤で用いられる界面活性剤を主成分としたもので、液体タイプと粉体タイプがあります。

    コンパウンドの役割は、工作物洗浄と腐食防止、メディア(研磨石)の目詰まり防止、潤滑剤として研磨作業の補助、工作物とメディアが擦れあう際に過剰に傷がつかないようにクッションになるなどの役割を持ちます。


  • 水はコンパウンドと一緒に投入します。

  • メディア
    工作物を研磨する研磨石を指します。メディアの材質は天然石やセラミック他さまざまなものがあり、目的によって使い分けがされます。

    また、サイズや形状によっても仕上がりが変わりますのでこちらも研磨の目的によって使い分けが必要です。

バレル研磨の種類

バレル研磨の種類には、回転型や振動型などさまざまな方法があります。以下で代表的なバレル研磨の種類を紹介します。

回転式バレル研磨

回転式バレル研磨は、一般的なバレル研磨方式として多く使われています。

八角形のバレル槽を一定方向にゆっくり回転させ、バレル槽にある工作物とメディアをかき混ぜ、ゆっくりと研磨していきます。

 

研磨の出来にムラがなく仕上がりが安定するという他、コストが比較的低くメンテナンスも容易というメリットがあります。

 

デメリットとしては、研磨に多少時間がかかること(数十分から数日)と、研磨できる量が比較的少ないという面があります。

振動式バレル研磨

振動式バレル研磨は、バレル槽に振動を与えて内部をかきまぜ研磨する方式です。

振動式のバレル槽にはボックスタイプとサークルタイプが存在します。

 

加工品の投入部が大きく、工作物を大量に投入できる他、大きな工作物や長さのある工作物にも対応しています。

 

バレル槽が密封されていないため、研磨加工中にも状況の確認が行えることもメリットとしてあげられます。

 

デメリットとして、振動式の機器自体が比較的高価であること。そして、研磨時の騒音が大きいという部分があります。

遠心式バレル研磨

遠心式バレル研磨は、研磨装置本体に複数のバレル槽がついている形状の装置です。複数のバレル槽がそれぞれ自転すると同時に、全体もバレル槽とは逆回転に公転し、高速回転することで遠心力を生み出し、その遠心力で内部をかき回すことにより研磨を行います。

 

一度に作業できる量は少量となりますが、短時間で研磨ができるメリットがあります。

流動式バレル研磨

流動式バレル研磨は、縦長のバレル槽の底面部が回転することにより、槽内部を洗濯機のように流動状態として撹拌します。

 

振動式と同様、密封されない形の研磨方法なので作業途中で状態を確認可能なことや、投入部も広く大量の工作物を一度に加工することができます。

 

研磨にかかる時間も比較的短時間で済み、小型の製品から大型の製品まで幅広く対応しています。

バレル研磨のメリットとデメリット

比較的大量の工作物を研磨できるなどのメリットがあるバレル研磨ですが、他にもメリットやデメリットがありますので紹介します。

 

バレル研磨のメリット

バレル研磨のメリットとしてあげられる物として、大量の工作物を安価に研磨できる面があります。また、研磨石や研磨時間などの条件が同じであれば、作業員の技術がある程度あれば一定の品質を保ったままの研磨が可能となります。

 

機器や研磨石の選択次第では高品質の研磨も可能で、光沢研磨や鏡面研磨作業にも対応できます。

バレル研磨のデメリット

バレル研磨のデメリットとして、小ロットの研磨には不向きという面があります。また、機器によって研磨できる工作物の大きさに制限がかかったり、複雑な工作物の研磨には向かないというデメリットも出てきます。

 

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