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3Dプリンター

Q、C、D、Eのそれぞれの切り口で見た3Dプリンター活用事例

2020年3月27日


前回のブログでは欧米での3Dプリンター活用事例、及びポイントをご紹介いたしました。

今回も引き続き、金属・樹脂の3Dプリンター活用事例を目的別にご紹介させて頂きます。

本記事では目的を以下の4つのケースに分けて説明します:

  1. Quality(品質):AM技術を活用する事で機能や性能の向上を図る場合、及び AMでなければ実現不可能な製造物の場合。
  2. Cost(コスト):AM技術を活用する事でコストダウンを実現できた場合。なお、ここで言うコストとは、単純な製造コストだけではなく管理費等も含めたトータルコストを指す。
  3. Delivery(納期):AM技術を活用する事で納期短縮を実現できた場合。なお、この納期の概念には流通に掛かる納期も含む。
  4. Experiment(研究・実験):上記 QCD とは別に、少数での製造が容易な点や比較的自由な形状を作れるAM技術を生かした研究や実験の事例。

 

Quality(品質)事例

事例:JINS 社のアイウェア

AM製造対象品:アイウェアのツル部分(樹脂)

ポイント:

・ツル部分を柔軟な樹脂素材を用いたラティス(格子)構造にする事で柔軟性を持たせながら動いてもずれにくく、蒸れにくい設計を実現。

・ラティス構造はAM技術の基本活用方の一つで、AM以外の工法での製造は困難。

・今後 e-Sports 等の分野も成長していく中、長時間着用が苦にならないアイウェアの需要は高まっていくことが推定される。

参照元:https://www.3dprintingmedia.network/carbon-gets-into-the-3d-printed-eyewear-game-with-neuron4d-sunglasses/

https://wired.jp/2020/01/06/jofjins_neuron4d-ws/

 

Cost(コスト)事例

事例:NASA のロケット部品

AM製造対象品:ロケットのPogo振動を抑える為の液圧アキュムレータ(金属)

* Pogo振動:液体燃料ロケットの飛行中にエンジンの性能が共鳴振動する現象で、アキュムレータで緩和しないとロケットの破損に繋がる。

ポイント:

・AM製造の活用法の一つに一体化構造という物が有り、従来は複数の部品を個別に作った後に溶接などでくっ付けていた部品を最初から一体化した状態で3Dプリントするという物。

・このアキュムレータは一体化構造を活用する事で、溶接部を 100 箇所以上無くすことに成功。

・従来は溶接個所一つ一つに検査工程を挟み、手直しが生じていた所が大きな改善点。

・これによりAM活用前のモデルと比較し約 35% のコストダウンと 約80% の納期短縮に成功。

・弊社の経験上、AMによる製造費自体は切削、板金などと比較して高くなる場合が多いため、この 35% のコストダウンの内訳は検査工程の削減や溶接前の分かれた状態の部品に掛かる管理費全般も含めていると思われる。

参照元:https://www.nasa.gov/exploration/systems/sls/nasa-tests-3-d-printed-rocket-part-to-reduce-future-sls-engine-costs

 

Delivery(納期)事例

事例:Siemens 社の列車部品のスペアパーツ

AM製造対象品:外装、内装部品 88 種(記事内で明言されているのはアームレストとフロントスカート)

・Siemens社は通常の電車や路面電車の製造事業を行っているが、基本的に各部品は多品種少量生産品。

・部品の多くは鋳造や切削で作られているが、納期は数週間かかることもあった。

・公共の乗り物の場合、部品の故障や破損が生じた際は、遅くとも 1 日以内に補修を完了させる必要がある。

 従って、AM技術活用以前は止むを得ず常にいつ使うか分からないスペアパーツをストックしておかなければいけなかった。

・AM技術を活用する事で、短納期な受注生産を実現し、95% 納期短縮を実現した。

 同時に、安全在庫の数を減らし、管理コストの低減にもなった。

参照元:https://additivenews.com/siemens-produces-spare-parts-trains-95-faster-3d-printing/

 

Experiment(実験)事例

事例:ダ・ヴィンチが設計した橋の実証実験

AM製造対象品:500 年前にダ・ヴィンチが設計した橋のミニチュア

・500 年前にダ・ヴィンチが提案したが実際に建造はされなかったという当時にしては画期的な橋の再現実験

・当時の橋の建造における技術や一般論から実物が完成することは有り得ないとされていたため、本当に可能かを AM 技術で再現した

・通常であれば、切削等で各部品 1 個のみ製造するとコストが掛かるが、AM では3Dデータさえあれば低コスト短納期で実現可能。

参照元:https://news.mit.edu/2019/leonardo-da-vinci-bridge-test-1010

 

以上の例が示す通り、製造費の高さ、公差や面粗度を問題点とされる事があるAM技術も使いようによっては他の工法では実現できない事や難しい事を実現できる可能性があります。

また、結果的にQCDがそれまでの製造方法や製造物と比較して改善されるケースも有る事がおわかり頂けたのではないでしょうか。

AM技術の活用において重要となるのは、AM技術のメリットやデメリットを踏まえた上で、素材や方式の使い分けを行い、多角的な切り口で改善点を見出すことです。

弊社は AM技術を用いた製造の実績や、ノウハウに関しても豊富な実績を持っております。

もし、自社でAM技術を活用したい、試してみたいといったご要望がありましたらぜお気軽にご相談ひください。