銅ブスバー
この記事では、板金加工に使用される部品についてご紹介します。
今回は電気装置に使用される「銅ブスバー」を、設計のポイントとともに掲載します。
銅ブスバーとは
銅ブスバーとは、バスバーや銅バーとも呼ばれる、銅で作られた導体のことを言います。
主に配電盤やブレーカ盤などの大容量の電流が流れる電気装置で、電気接続に利用されています。
接点間の距離が長く、大容量の電流を流す時に、ブスバーを利用することで安定して効率的に電源を供給することができます。
加工面においては、ファイバーレーザー加工機*であれば問題なく加工することが可能です。板金加工により周囲環境に合わせた形状にすることで、ケーブル(電線)配線よりも組立作業性が良くなります。
また、ネジ締結によりブスバー同士を組み合わせることで、電源を分岐させることも可能です。
*一般的に使用される炭酸ガスレーザー加工機では銅の反射率が高いため、レーザーの反射による機械の故障する恐れがあること、材料費が高いので失敗した場合のコストが大きいといった理由から避けられています。
銅ブスバーの選定方法
銅ブスバーの選定には、機械的特性・電気的特性・周囲環境(熱や空間など)など、様々な条件を
考慮した設計が必要となりますが、ここでは銅ブスバー単体の簡易的な選定方法をご紹介します。
材質は、導電率や機械的特性の優秀さから、C1020もしくはC1100を使用することがほとんどです。
合金番号 | 質別 | 製品記号 | 厚さ | 導電率 |
単位:mm | %IACS(20℃) | |||
C 1020 | O | C 1020 BB-O | 2.0 以上 30 以下 | 100以上 |
C 1100 | C 1100 BB-O | |||
1/4H | C 1020 BB-1/4H | 2.0 以上 30 以下 | 98以上 | |
C 1100 BB-1/4H | ||||
1/2H | C 1020 BB-1/2H | 2.0 以上 20 以下 | 98以上 | |
C 1100 BB-1/2H | ||||
H | C 1020 BB-H | 2.0 以上 10 以下 | 97以上 | |
C 1100 BB-H | ||||
※IACS とは,国際的に採択された焼鈍標準軟銅のこと | ||||
JIS H3140:2012銅ブスバーより抜粋 |
次に、設計に必要な最低断面積を求めます。
・電流値が決まっており、銅ブスバーの断面積を求める場合の計算方法
単位 | |
電流値(定格電流) | A |
電流密度(右表参照) | A/mm2 |
ブスバーの断面積 | mm2 |
電流値 | 電流密度 |
125以下 | 3.0以下 |
125~250以下 | 2.5以下 |
250~400以下 | 2.0以下 |
400~600以下 | 1.7以下 |
JIS C8480:2016より抜粋 |
・計算式
断面積 | = | 電流値 | / | 電流密度 |
電流値が200Aの時は、電流密度の表を参照して、2.5A/mm2とします例:電流値200Aの場合
80 | = | 200 | / | 2.5 |
以上の計算により、最低断面積を求めることができました。結果、最低80 mm2の断面積が必要
設計時には以下の点に注意が必要です。
銅ブスバーを使用した部品設計のポイント
1.あくまでも最低断面積なので、計算値をそのまま使用しない。
2.[材料の面取り及び成形のための電流密度増は,+5 %まで許容する JIS C8480:2016より抜粋]
3.電流密度は、上記の条件を計算の段階で盛り込むとよい。[帯状導体の途中にねじ穴の類があっても,その部分の断面積の減少が 1/2 以下である場合は,これを考慮しなくてもよい JIS C8480:2016より抜粋]断面積が1/2以下になる場合は考慮する必要がある。※ネジ穴、固定穴をあける場合は特に注意しましょう。
4.銅ブスバーと他の金属部品が接触して、ショートしない設計を行う
参照規格:
JIS C8480:2016 キャビネット形分電盤
JIS H3140:2012 銅ブスバー