組立 ねじ締め
ねじ締め作業は、複数の部品で構成されている機械や構造物の組み立てにおいて非常に重要な工程です。
正しく締め付けられていないと、緩みや製品の破損事故の原因になるため、高い精度での作業が求められます。
目次
1.ねじ締め作業の基本
ねじの種類の確認
ねじの種類は多く、以下のような種類があります。
ねじの種類によって作業に使う工具が変わるので、組み立て指示書や部品表を確認して間違えないようにしましょう。
例:部品表のねじの指示
主なねじの種類
・六角ボルト・ナット
・十字穴付きなべ小ねじ
・皿小ねじ
・タッピングねじ
・トルクスねじ(いたずら防止ねじ)
・六角穴付きボルト
2.締め付け工具
ねじ締め作業において工具の選択は非常に重要です。ねじ合った正しい工具を使わないと、重大な問題が発生する可能性があります。
また、正確なトルクで締めることが品質確保には不可欠です。
主な締め付け工具
ドライバー(プラス・マイナス)
最も一般的に使われている工具の一つで、安価で購入できます。
プラス・マイナス共にサイズを合せないとねじ頭をつぶす原因になります。
トルク管理は作業者の技量に依存します。
トルクドライバー(手動・電動)
トルクドライバーとは、ねじを締める際に設定されたトルクで停止・空転したり、音が鳴るように制御されたドライバーです。
締め付けすぎや緩すぎを防ぎ、誰が使っても一定の力でねじを締めることができるため、製品の品質保持や安全性の確保に役立ちます。
電動の物はトリガーを引くだけでねじを早く締められます。
回転が早いため、トルクの設定が間違っているとねじや部品が破損します。
トルクレンチ
トルクレンチとは、ねじを締める際に設定されたトルクでカチッと音が鳴るように制御されたレンチです。
締め付けすぎや緩すぎを防ぎ、誰が使っても一定の力でねじを締めることができるため、製品の品質保持や安全性の確保に役立ちます。
カチッと音が鳴ったら締め付け完了しているので、それ以上回すと締め付けすぎになります。
ラチェットドライバー
一方向にしか回らないので、回転後に一度外す手間が省けます。
回しやすくトルク調整が難しいので、勢いで破損しないように慎重に使う必要があります。
トルクスレンチ/ドライバー 星型のトルクスねじ用
トルクスねじ専用の工具です。
3.工具選びのポイント
1. ねじや部品を破損しないよう正しい工具を選ぶ
サイズ違いのドライバーなど、不適切な工具を使うと、ねじ頭を「なめる」(削れたり変形して回せなくなる)ことがあります。
また、トルクが強すぎる(力をかけやすい)工具を使うと、ねじや部品の破損につながります。
2. 適切な締め付けトルクを確保する
一般的によく見るドライバーのような手締め工具では、トルクの調整が難しく、しっかりした講習をうけたり、熟練の技術がないと管理が非常に困難です。
トルクレンチや電動トルクドライバーなど、トルク管理ができる工具があれば、作業が容易になります。
3. 作業効率をあげる工具を選ぶ
電動工具やラチェット式工具を使うと、作業が速くなり、工数の削減に繋がります。
工具を目的に応じて選ぶことで、作業の無駄を減らせます。
ねじ締め作業では、正確さ・効率・安全・品質を保つために、工具選びが不可欠です。
「どんなねじを、どこに、どのくらいの力で締めるのか」を考え、それに合った工具を選びましょう。
4.締め付けの手順
仮締め:全てのねじを軽く締めます。
本締め:締め順に従い規定のトルクで締め付けます。
確認:トルクチェックまたはマーキングなどにより確認します。
5. 締め付けトルクとは?
締め付けトルクとは、ねじを回すときにかける回転力(力×距離)のことです。
単位は N・m(ニュートン・メートル) や kgf・cm などで表されます。
締結部品とねじの材質や表面の状態、強度区分など、様座な条件で変化する数値です。
JIS規格では規定されていないため、試験や経験からの結果や、計算で求めるなど、会社によって規定されている場合もあります。
特別な条件がなければ、標準的なトルク値の規定として、「T系列」を使うことができます。