RoHS指令と六価クロムと三価クロム【前編】

切削
2020年7月21日


カブクで対応している処理、三価クロメート(三価クロムクロメート)について、三価クロムと六価クロムの違い、それに絡むRoHS指令について2回に分けてご紹介いたします。

 

「RoHS指令」とは

2006年7月より施行され、今や世界の環境規制のグローバルスタンダードとなっている「RoHS指令」。

EU(ヨーロッパ連合)から始まり、世界に影響を与えています。

RoHSとは「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限」のこといい、(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipmen)と、長い名前の略称なのです。

 

なぜRoHS指令が施行されたのでしょうか。

私たちが生活するうえで利用しているパソコン、エアコン、冷蔵庫、玩具、自動車、一番身近なものでは携帯電話などには、人体に悪影響を及ぼす水銀、カドミウム、鉛などの有害物質を含む部品が使用されています。

これらの有害物質は、製品を利用する上では問題にはなりませんが、廃棄する際に正しい処理を行わずに焼却や埋め立てされることで、地下水を汚染し、人体に悪影響を及ぼすといった環境汚染に繋がっています。

廃棄の方法については世界各国で基準や設備が異なっておりコントロールが出来ないため、使用についての規制を設けることとなりました。

 

EU(ヨーロッパ連合)では、RoHS指令で使用が制限されている特定の物質に、それぞれ最大含有率が定められており、最大含有率を超える量の物質を含む部品及び製品は製造・販売することができません。輸出についても同様で、最大含有率を超える部品や製品は、EUなどへの輸出ができなくなっています。

 

2006年7月に施行されたRoHS指令は、2011年7月に大幅改正された後、2013年1月より全面施行され「RoHS2指令」と通称されています。

制限されていた物質は6物質から、2015年6月には4物質追加され、現在では10物質となっています。

 

RoHS2指令の規制物質

物質名 略名 最大許容濃度 用途
1 カドミウム Cd 0.01wt% 電池・顔料・メッキ材料など
2 六価クロム Cr(Ⅵ) 0.1wt% メッキ材料・染料・塗料など
3 水銀 Hg 計測用材料・蛍光材料・薬品・接点材料・抗菌・殺菌など
4 Pb 塗料・顔料・はんだ材料

金属の切削性向上・電池材料など

5 ポリ臭化ビフェニル PBB 難燃剤・自動車などの塗料
6 ポリ臭化ジフェニルエーテル PBDE 難燃剤
7 フタル酸ジ-2-エチルへキシル DEHP 塩ビ、樹脂、塩化ゴムの可塑剤・接着剤・顔料・塗料など
8 フタル酸ジ-n-プチル DBP
9 フタル酸ブチルベンジル BBP
10 フタル酸ジイソプチル DIBP

 

2006/7施行時の6物質 2015/1に追加された4物質

 

「RoHS指令」はEUでの規制であって、日本を含む諸外国には適用されてはいませんが、多くの国で同様の規制や関連法が制定されています。

また、RoHS指令とともに交付された、電気や電子機器処分量削減と構成される部品の再利用やリサイクルを目的とした「WEEE指令」も含め、人体や環境に悪影響を及ぼす有害物質の使用を規制し、リサイクルを推奨する流れになっている今、環境問題に真摯に取り組み続ける姿勢が大事だと感じます。

 

おわりに

今回の記事では、クロメートの説明には欠かせないRoHS規制について説明させていただきました。思っていたよりも身近なところに規制対象の物質が使用されていたのではないでしょうか。

次回は、三価クロム・六価クロムの違いや、RoHSとどのように関係しているかについてお話しします。