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【連載】DXを行うのに知っておきたい技術

この連載では、株式会社ロードフロンティアの代表取締役 並木 将央 様に、全3回にわたってDXについて解説いただきます。

本日は「DXを行うのに知っておきたい技術」をテーマに、具体的なツール等についてご説明いただきます。

 

DX とは何かを掴めたら、続いて DX に用いられるツールを説明していきます。 まずはインターネットでお馴染みの クラウド 。ビッグデータでももちろん使います。「 インターネットなんて当たり前に使っているよ! 」という方も 、使えるけれども 説明できない 方が多いのではないでしょうか? 続いて、 IoT と ICT 、RPA 、AI 、ロボットを順に説明していきます。 DX を考えるときに知っておいてほしい技術の基本をお伝えしておきます。

クラウドとは

ビッグデータ

ビッグデータとは「膨大なデータ」と漠然としたイメージをする方が多いかもしれませんが、ビッグデータとはデータの 4つの V 「量( Volume )」「種類 Variety )」「発生頻度・更新頻度 Velocity )」「正確性 Veracity )」 から成ります。

つまり、ビッグデータとは “日々、膨大に生成・蓄積されるさまざまな種類・形式のデータ ”を指 し、それを活用していきます 。何に活用したいのか?決めてから、データを集めるようにしましょう。

 

インターネットとは

さて、 ビッグデータを理解するために 、インターネット とは何か 理解してお きましょう。 インターネット は 2017年には利用率(個人)が 80 %を超え まし た。毎日使っているという方が多いのではないでしょうか。 インターネットとは、家や会社、学校などの単位ごとに作られた 1つ 1つのネットワークが、さらに外のネットワークとも繋がるようにした仕組みです。

インターネットを利用するためには 、2つ必要です。 1つはプロバイダ、もう 1つはルーター。 プロバイダ は 1つの口しか繋げられないので、複数台繋ぐために プロバイダ にルーターを繋いで使います。 もしも、インターネットで速度が出ないと思ったならば 、ルーターだけではなく、プロバイダもチェックしてみてください。 プロバイダ の契約 を変更 するだけでインターネットの速度が急速に変わるということもよくあります。

 

クラウドとは

続いて、クラウド の理解も深めましょう。クラウド とは、 クラウド・コンピューティング の略です。 遠隔操作ができるようになることです。 インターネットの向こう側 にアクションを取ります。 多くの場合は データやアプリケーションであることが多いですが、コンピュータ資源ごと送ることが可能です。手元にある機器のスペックが悪くても、クラウド上が高機能の場合、クラウド上で処理したものを手元の機器に戻せば良いとなると、手元の機器は物凄く安価なものでも良くなります。

皆様が考えるポイントは、手元で 行うものは何で、クラウド上で 行うものは何かということです。 2つのバランスを考えることが重要です 。

クラウドは利用形態によって 3種類に分けることができます 。パブリッククラウド 、プライベートクラウド 、ハ イブリッドクラウド 。ハイブリッドは パブリッククラウドとプライベートクラウドの両社を使うクラウド環境のこと なので、パブリックとプライベートの 2種を覚えておけば完璧です。パブリックは Amazon の AWS は耳にしたことがあるのではないでしょうか。オープンにしても大丈夫な情報のときに 使い、プライベートは公開するとまずいもののときに使うものだと認識しておいてもらえれば良いです。

 

IoTと ICT

IoT

IoTと ICT は、真ん中の文字が Oと Cで違うだけなので、よく混同されがちです。 違いは何でしょう? IoT は 「Internet of Things 」の略称。「様々な物がインターネットにつながること」「インターネットにつながる様々な物」を指しています。インターネットとつながった IoT 機器には、情報を発信するタイプもあれば、情報を受信するタイプもあります 。情報を発信するタイプ は象印マホービン株式会社 の IoT 電気ポット「 iポット」 のように見守り機能として活用されています。 電源を入れたり、給湯したりすると、離れて暮らしている家族のスマートフォン等へ動作状況が伝達され ます。 情報を受信するタイプ では パナソニック株式会社 のロボット掃除機「ルーロ」 などが有名です。掃除する箇所を 外出先からでもスマートフォンで 指示し、 動作させることができ ます。

一方 、ICT は IT と似たような意味で使われます 。IT はハード・ソフト・アプリケーション・ OA 機器等の全体を意味し、 ICT は「 IT 技術を使ってどのように人々の暮らしを豊かにしていくか」という活用方法を指します 。 つまり、 IoT はモノがインターネットに繋がること、 ICT は人がインターネットに繋がることを指しています。

 

RPAとは

Robotic Process Automation の略称です。ホワイトカラー業務をロボットが代行する取り組みです。テスト自動化ツールや Excel のマクロに類似した仕組みとイメージすると分かりやすいでしょう。業務を代行・自動化するソフトウェア型ロボットを「デジタルレイバー・デジタルワーカー(仮想知的労働者)」などと擬人化され、呼ばれることも多いです 。ホワイトカラー業務をロボッが代行する取り組みと言っても、 RPA ができるのは単純作業となります。高頻度、大量、単純な反復作業が向いています。 RPARPA<EPA <CA の順番で、より複雑な、人間に近い業務に対応することができると言われています 。
RPA を導入することによって 人件費の削減、生産性の向上、業務品質の向上、高付加価値業務へのシフトなど効果が挙げられます 。既に間接業務や金融業務を中心に様々な分野 、業界 で活用されています 。人件費を削減と申しましたが、成熟社会では人が減っていくので、浮いた人材はより高付加価値業務へシフトしていきましょう。

 

AIとは

Artificial Intelligence の略で、日本語では人工知能と表されます。「知能」という言葉からか「魔法の杖」のように何でもできると思われがちな AI ですが、現在、使われているのは 「機械学習」「深層学習」が主であり、まだ映画で観るような人工知能ではありません 。
AI が搭載されたロボットも増えていっているので、特に分けて考える必要もないですが、惑わされずに理解するために ロボットと AI の違いを知っておきましょう。ロボットと AI の差は、自ら行動を起こせるかどうか?です。ロボットはプログラミングで教えられたことしか できませんが、 AI は未知の課題や問題に直面しても、答えを導き出せます。 例えば、ロボットは教えたパンしか判断できませんが、 AI ならば以前教えたパンから見知らぬパンの種類を判断できます。 教えたこと以上にできるのが AI です 。
日本のAI 導入状況 は、総務省の令和元年報通信白書によると、中国・米国・欧州主要国を下回っているという結果が出ています 。日本の IoT 、AI 等の活用状況は、全体では IoT が 23.123.1%、 AI が 10.910.9% です。また、先端技術の活用目的を見ると、利用側では、業務効率の向上やコストの削減を挙げる割合が高いようです 。前回 、DX とは 何か をお伝え してきましたが、 業務効率の向上やコストの削減 が目的 では DX を求めているのではなく、 BPR で十分 な企業 も多い と言える でしょう。

 

ブロックチェーンとは

分散型ネットワークを構成する複数のコンピュータに、暗号技術を組み合わせ、データ(取引情報など )を同期して記録する手法のことをいいます。一定期間の取引データをブロック単位にまとめ、コンピュータ同士で検証し合いながら正しい記録をチェーン(鎖)のようにつないで蓄積する仕組み であることから、ブロックチェーンと呼ばれます。別名「分散型台帳」です。ビットコインなどの仮想通貨(暗号通貨)に用いられる基盤技術です 。 ブロック・チェーンの活用事例 としては、 仮想通貨だけではなく、決済や送金、証券取引、ポイント管理、著作権の管理などにも使えます。金融業界や小売業界以外にもさまざまな業界で広がりつつあります 。

 

まとめ

違いが分かるようになりましたか?サービスとして使われるときには1つの技術だけではなく、複数の技術を掛つの技術だけではなく、複数の技術を掛け合わせて使われていることも多いですけ合わせて使われていることも多いです。

株式会社ロードフロンティア
代表取締役 並木 将央 成長時代と成熟時代の時代格差や環境変化を取り入れた社会的イノベーションを背景とした事業変革理論を展開し、The Japan Timesの「次世代を担う100人CEO アジア2014」に選ばれた新進のコンサルタント。経営と技術の両面の知識を持ちDXに精通、また現在の世情や人間観をも背景とした多様なマーケティング
と経営手法や理論の活用方法で、企業や各種大学での講演・講義を行うため、幅広い分野での経営・ビジネスのコンサルティングを実施している。

奥野技術士事務所 代表
奥野 利明

大学院修士課程(金属工学専攻)修了後、大手鉄鋼メーカーに入社。主に鉄鋼製造の現場において操業技術管理、設備管理、品質管理を担当し、その後、製品企画、プロセス技術開発、技術企画、品質保証業務(QMS品質管理責任者)を経験。2021年に退社し技術士事務所を設立、金属製品製造における品質管理、および航空宇宙製品の品質保証について、現場目線での再発防止の仕組みづくりを積極的に推進している。

現在、公財)新産業創造研究機構の航空ビジネス・プロジェクトアドバイザー、産業技術短期大学非常勤講師を務める。