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焼入れ

焼入れとは

焼入れとは、炭素を含む鋼材を加熱して、急速冷却することによって、鋼を硬くする処理です。英語ではハードニング(Hardening:硬くする)やクエンチング(Quenching:急冷する)、もしくはクエンチ・ハードニング(Quench Hardening:急冷して硬くする)などと呼ばれます。JISの加工記号では「HQ」と記載されます。

鋼の金属組織がオーステナイトと呼ばれる組織に変化する温度まで加熱保持した後、液体や気体で急速冷却することで、マルテンサイトと呼ばれる組織に変化し、硬化させます。

 

焼入れの目的

鋼を硬くすることが焼入れの目的ですが、硬化の程度は鋼に含まれる炭素量で決まります。炭素だけでなく、さまざまな合金元素によっても最高硬さや硬化の深さが変化します

 

変化点以上30~50℃の高い温度に加熱保持した後に急速冷却します。急冷し、マルテンサイト組織に変化することを、焼きが入るといいます。一般的な急冷方法は焼きが入りにくい鋼に対しては水冷、やや焼入性がよいものには油冷、焼入性が極めてよいものには空冷やガス冷が用いられます。

また、固体中の熱の移動は時間がかかるため、内部は表面より冷却が遅れます。このような鋼を、焼入性の悪い鋼や焼入性の小さい鋼と呼んでいます。焼入性の小さい鋼でも、冷却速度の大きい水焼入れを用いると、内部まで硬くなります。焼入性の大きい鋼を、水焼入れすると、焼きは入るが、焼きひずみや焼割れが生じます。そこで、冷却速度の小さな油焼入れを用います。

 

焼入れの注意点

冷却の最も重要なことは、臨界区域(約550℃)まで急速冷却することです。

冷却速度が遅くなると、パーライトが生じてしまい、マルテンサイトにならないため硬さも得られなくなります。それ以下も急冷すると表面のみがマルテンサイト変化開始温度(Ms点)に達し、その部分のみが膨張し、ひずみや割れにつながります。このMs点以下を危険区域とし、急冷しないように注意する必要があります。

こうして、冷却は表面と内部の温度差を少なくして、焼入れをおこないます。

 

焼入れ時にともなう欠陥

1.焼きムラ

硬さにムラがある事を指します。

  • 原因:スケールの付着・部分的な脱炭、焼入れ温度、焼入れ冷却速度の不適正によります。
  • 対策:オーステナイト化温度化に均一に加熱、冷却も均一に急冷する。

 

2.硬さ不足

  • 原因:オーステナイト化温度が低い状態からの焼入れしたときに生じます。反対に高温度で焼入れし、オーステナイトが多量に残留したときに生じます。
  • 対策:適切な温度・冷却流速で処理します。

 

3.変形

  • 原因:熱処理前の加工による、応力が残留しており、加熱によって応力が除去され歪みとしてあらわれます。
  • 対策:焼入れ前に加工応力の除去、曲がりが生じないように、装入方法に注意します。
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4.焼割れ

  • 原因:急冷によって鋼の内外部に生じた温度差による熱応力と、マルテンサイト変態による引張応力によります。部分的な脱炭がある鋼や、鋭角な鋼の角部分、肉厚が大きく異なる場合に起こります。
  • 対策:適切な熱処理条件で行います。形状や材料の見直しを行います。