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【エッチング】エッチングとは

エッチングは金属の腐食現象を利用し、高精度で微細に作製できる加工方法です。エッチングには複数の種類があり、それぞれ特徴が異なります。エッチングの原理や種類について、わかりやすく説明します。

エッチングとは?

エッチングとは、プラズマや溶液を用いた金属の腐食現象によって、任意の形状に加工する方法です。

腐食とは、化学反応によって金属が溶解する現象のことです。

エッチング加工時に、除去したい部分を溶液に浸漬して、腐食によって最終形状に仕上げます。

エッチングは半導体分野で使われることが多く、主に使用される手法がフォトエッチングです。フォトエッチングは、金属を腐食しない部分に感光性耐食材料(フォトレジスト)を被覆し、フォトレジストが被っていない金属部を腐食して微細加工を実現しています。

エッチングの特徴は、主に次の3つです。
 少量多品種に向いている
 高精度で加工可能
 微細な形状も加工できる

少量多品種に向いている

たとえばフォトエッチングでは、最終加工形状ごとにフォトレジストのパターンを作製するため、数多くの品種に対応できます。

高精度で加工可能

高精度に製品を加工できることも、エッチングのメリットです。

たとえば切削加工では、工具を使用して機械的に加工するため、寸法精度には限界があります。しかしエッチングは化学反応を利用し、原子・イオンレベルで加工するため、仕上がりは高精度です。

また機械的に加工する場合、ひずみが発生してしまい材料特性に影響を及ぼします。エッチングでは加工時に大きな負荷がかからないので、ひずみは発生しません。

微細な形状も加工できる

微細形状に加工できることも、エッチングの特徴です。化学反応による方法のため、ミクロンオーダーで加工できます。

また加工したい部分のみ選択的に腐食除去できるため、スリット形状や穴あけ加工、メッシュ加工などの複雑形状に仕上げられます。

エッチングの原理

エッチングの基本的な原理は、金属が腐食して溶解することです。

たとえばフォトエッチングでは、次の工程で加工できます。

 加工したい材料の準備・前処理
 フォトレジストで成膜
 露光用原版(フォトマスク)を被せて露光・現像
 現像で露出した金属を腐食
 フォトレジストを除去

まず加工したい材料を準備し、脱脂や水洗、酸洗によって酸化膜や油脂を取り除き、表面を均一状態にします。

この理由は、酸化膜や油脂を起因として、エッチング加工後にムラや欠陥が発生するのを防ぐためです。

次の工程は、加工で除去しない部分へのフォトレジスト成膜です。フォトレジストは耐食性に優れる材料であるため、成膜された箇所は腐食から保護されます。

加工材料に成膜した後、露光用原版(フォトマスク)を被せて紫外線や電子線などの光を当てます。

フォトレジストは、光が当たると溶液に溶けない性質に変わることが特徴です。そのためフォトマスクを通過した光がフォトレジストに当たり、溶液に溶ける部分と不溶部分に分かれて現像されます。

現像が完了した後、露光されなかった箇所のフォトレジストを除去し、金属を露出させます。

露出した部分を溶液に浸漬させることで、電気的化学反応が生じて金属が溶出し、腐食完了です。

溶出した金属は除去され、露光された金属部分のみが残っているため、フォトレジストを除去すると任意形状に仕上がっています。

エッチングの種類

エッチングは大きく分けて、ウェットエッチングとドライエッチングの2種類です。それぞれの特徴について、詳しく説明します。

ウェットエッチング

ウェットエッチングは、酸やアルカリなどの溶液を用いて腐食する加工方法です。

加工する金属と溶液の組み合わせ次第で、等方性エッチングと異方性エッチングに分けられます。

2種類に分かれる理由は、溶液の種類によって金属材料の腐食しやすさが変わり、金属結晶面の特定方向のみ優先して腐食が進むのか、方位に関係なく均一に進むのかが異なるためです。

 

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